く櫛《くし》のようなものがあった。
艇長は、それをみながら、また更に目盛盤を、うごかした。すると、映写幕のうえの像が急にはっきりしてきた。
「ほら、うまく出てきた。これが地球の夜明けだ。いや、夜明けは、この端《はし》のところだけで、きらきら光っているところは、もうすっかり朝になっている」
「えっ、地球が見えているんですか、なんだか銀の櫛みたいだなあ」
「よく見なさい。まっ黒な宇宙を丸く区切って、ここに地球の輪廓《りんかく》が見える」
なるほど、それはたしかに見える。西瓜《すいか》を二倍大にひきのばしたくらいの大きさであった。
「分ったかね。これが、われわれのうしろにとおざかっていく地球だ。地球が、今日は満月のように丸く輝いてみえるのだ。ほら、どんどん輝いている面積が広くなっていく」
どういうわけか、どんどんひろがっていくのであった。それは、地球の重力がとどかない遠方に、この噴行艇が出てしまったために、それで地球が早く廻って見えるのだと、あとで分った。
輝く地球は、全くものすごい。ながく見ていると、身体がさむくなってくるような感じであった。
「見ていると、身体が、ぞくぞくしてきま
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