めっぽい。
「海に近い場所かな」
 と思ったが、瞬間、ある考えが、頭をかすめた。
「ひょっとすると、海底にある建物ではあるまいか。いや、まさか、そんな馬鹿なことが……」
 自分の考えを自分で、うち消すようにつぶやいた時である。
「おい、小僧。目がさめたか」
 とつぜん声がした。妙ななまりのあるロシア語だった。
「えっ、――」
 太刀川は、声のする方をふりかえってみた。
 おどろいたことに、冷光灯かがやく壁のところに、ぽっかりと四角な窓が開き、その中から一つの赤い顔が、こっちをのぞいて、あざ笑っているのであった。
 その顔は、鼻の形、額の恰好からいって、たしかにユダヤ人だ。
「うふふふふ。やっと、気がついたようだね。だが、不景気面をしているところをみると、まだ夢でもみているのかね。おい、日本蛙、ここをどこだと思う。海の底だよ。海の底も底、太平洋の底だよ。ある仕掛で渦を起し、貴様をすいこんで、ここへ運んできたのは、貴様にちょっとばかり用があったからだよ。うっふふふ、そうおどろかんでもよい。ちょっと待て、もっとよいところへ案内してやるからな……」
 その言葉が終るか終らないうちに、ジーという
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