けられて、いやいやながら歩きだしたが、その時、とつぜん、妙な節まわしで、唄をうたいだした。
「いまにイ、たすけるかーら、たんきを、だアすナ」
 それは三浦のとくいな磯節だった。
 太刀川は、それをきくと、三浦の方に向かって、自分の足を指さし、
「君をけとばした奴が、鍵をもっている!」
 といった。日本語だから誰にも分かるはずがない。うまくいったら、鍵をとってくれというのだが、すこぶる無理な注文である。
 三浦が、引立てられていったところは、司令官室であった。
 しかし一同は、衝立《ついたて》のかげで、しばらく待っていなければならなかった。
 というのは、奥で、しきりにケレンコ司令官のあらあらしい声が聞えているからであった。
「……日本攻略の日は、明朝にせまっているのに、貴様は、酒ばかりのんでいる。少しつつしみがたりないではないか」
 その声は、三浦に聞えたが、ロシア語だからその意味を知ることはできなかった。もし太刀川が、これをきいたとしたら、どんなにおどろいたろう。一たいあの恐竜型潜水艦に勝てるような防禦兵器が、わが日本にあるのだろうか。
 危機は、もう目と鼻との間にせまっているのだ。
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