の模様によって、第二の行動をおこすことにしてくれたまえ」
「はい。誓って任務をやりとげます」
ここに太刀川青年は、特別任務を帯びて、謎の太平洋へ出発することとなった。
その前三週間、彼は短期ながら、偵察員としての特別の訓練をうけた。早くいえば探偵術を勉強したのである。
いよいよ出発の日、原大佐は太刀川青年をよんで、最後の激励の言葉をのべ、そのあとで、
「おい太刀川。君にぜひとも持ってゆかせたいものがある。これだ。これをもってゆけ」
といって、渡したものがあった。それはチョコレート色の太いステッキであった。
「これはステッキですね。ありがたく頂いてまいります」
「ちょっと待て。このステッキは、見たところ普通のステッキのようだが、実はなかなかたいへんなステッキなのだ」
「え、たいへんと申しますと」
「うん。このステッキの中には、精巧な無電装置が仕掛けてある。これをもってゆき、こっちと連絡をとれ。しかし、むやみに使ってはならぬ」
「はい、これは重宝なものを、ありがとうございます」
「なお、このステッキは、いよいよ身が危険なときに、身を護ってくれるだろう。あとからこの説明書をよんでおく
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