はうんと長く前へつきだしていて、蛇の腹のようである。ふとい胴中は、鼠のようにふくれ、背中と両脇とに、三角形の大きな鰭《ひれ》がついている。しり[#「しり」に傍点]尾はふとくながい流線型で、そのつけ根のところに、八つばかりの推進機がまわっていたようである。「おい、リーロフ。わしたちは、水中快速艇で戦隊のあとをおいかけることにしよう。快速艇をこっちへ呼んでくれ」
 ケレンコの声に、太刀川は、やっと我にかえった。


   恐竜戦隊の出動


「司令官閣下、どうぞ」
 快速艇がくると、潜水服姿の太刀川は、リーロフの声色《こわいろ》をつかって、こういった。ケレンコが、のりこむと、
「さあ、リーロフ。お前も早く」
 とせきたてた。太刀川は、のりこみながら、
 ふと思いだして、
「演習に出かけると知ったら、酒を五、六本持ってくるんだった」
 と、わざと酒ずきのリーロフらしいことをいえば、ケレンコは、
「ふふふ」
 と笑って、
「お前の潜水服の内がわには、酒びんをとりつけてあるときいたぞ。そんな仕掛をしてあるのに、酒とはへんだね。第一、酒びんをさげてきても、潜水服をきていたんでは、のもうにも、のめんじゃないか。リーロフにしては、また妙なことをいいだしたものじゃのう」
 ケレンコの口ぶりには、どこか、皮肉なところがあった。
 太刀川は、どきんとした。共産党随一のちえ者といわれるだけあって、これはゆだんがならぬぞと思ったのである。そういえば、この潜水服をきたときから、耳のうしろでどぶんどぶんと音のするものがあって、気になって仕方がなかった。これが、リーロフが特別にこしらえさせた酒びんかもしれない。
 太刀川は、ふと鼻の先に、赤ん坊が口にくわえる牛乳の吸口みたいなものが、ぶら下っているのに気がついた。
(はて、これかな)
 と思って彼は、その吸口みたいなものをすってみた。すると、どろんと口中にながれこんできた液体が、舌をぴりぴりとさした。そしてぷーんと、はげしい香が鼻をついた。
(あ、火酒《ウォッカ》だ!)
 酒びんの中から、ゴム管でつながっていたのだ。それをケレンコが、知っていたのだ。たいていの者なら、このへんで、降参してしまうところかも知れない。が、わが太刀川青年は、腹の中でふんと、せせら笑っただけである。
「あははは、あははは。司令官閣下から御注意をうけるまでもなく、私の分だけな
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