な美しいロボットは実在しない。
あの映画が、東京の邦楽座《ほうがくざ》に出たとき、築地小劇場の連中が、「メトロポリス」の実演をやった。そのとき沢山の美しいロボットが、短い労働服で出てきて、点々として器械的に働いていた。その端麗にして無感情な顔や、柔かそうな白い二の腕や、短いパンツの下から、ニュッと出ている恰好のよい脚などは、――勿論、本当の女優さん方の演出であるが――「魂のない人間」に扮しているだけに、非常に蠱惑的《こわくてき》なものがあった。屍姦《しかん》だとか、人形を弄《もてあそ》んだりする人達の気分が、なんだか判るような気がしたことである。
* *
其後《そのご》、英国のゴムシャムで出来た人造人間、倫敦の流行児となったエリックという人造人間、米国ではウェンスレー博士のこしらえたテレボックスという名の人造人間など、あとからあとへと現れ、テレボックスの如きは同じ姿をした弟たちが、幾度も製造され、それぞれ役立っているという。朝日新聞が独逸から招聘《しょうへい》したレマルク君は、日本に初めて来た人造人間であるが、一番美しい容姿を持っている。テレボックスの如きは、これに反
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