《ロボット》!」
 一同は同時に声を立てた。
 ピューンと消音《しょうおん》拳銃《ピストル》が鳴りひびくと、覘《ねら》いあやまたず、銃丸は眼窩《がんか》にとびこんだ。全身真黒な人造人間《ロボット》がドタリと横に仆《たお》れた。「人造人間が死んだ」
 誰かがそう叫んだ。ほんとに危いところだった。もうすこし気付きようが遅かったら、人造人間はこの部屋に爆弾の華《はな》を飾って、自分一人がのがれて行くかも知れなかった、と誰もが思ったことである。
「おお、血が垂れる。人造人間の血だ」と一人が頓狂《とんきょう》な叫び声をあげた。
「人造人間の血はおかしい」
「早く内部《なか》をしらべてみろ」
 一同は人造人間をどう解剖したらばよいかとまどったが、それは意外にも手軽るに分解し、果然《かぜん》、鉄の外皮《がいひ》がパクンと二つに開いた。その中には、歯車や電池がぎっしり詰《つ》まっているかと思いの外《ほか》、身に軽羅《けいら》をつけた若い女の死体があった。とり出してみると、それは劉《りゅう》夫人に違いなかった。
「おお緑十八、われ等が副首領」
 首領が自《みずか》らの覆面をとって、夫人の死体に縋《すが》
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