リナシニ……」
うわーッ。
一同の悲鳴。「煙幕」というところで、人造人間は鋼鉄の太い右腕をふりあげて、エイヤエイヤと寝台の上を打つのであった。大江山課長の制帽は、たちまちクシャクシャになって底がぬけてしまった!
帆村はなおも落ついて先を読んだ。「烈風《れっぷう》」「激浪《げきろう》」「横転《おうてん》」という三つの言葉が出ると、人造人間は別々の新しい行動を起し、遂に「撃沈《げきちん》」という言葉を聞くと、すっかり元どおりに函の中に収ってしまった。
ハーッ。一同は期せずして大きな溜息《ためいき》を揃えてついた。
「……帆村君、ありがとう。君の実験は大成功だよ」
と、雁金検事が夢からさめたように云った。
「いや、恐ろしいやつは、馬詰丈太郎です。彼は博士の熟睡時間をはかって、こうして人造人間に殺害させたのです。人造人間操縦の暗号言葉を巧みに織りこんだラジオドラマを自作し、ラジオでもって人造人間に号令をかける。なんという素晴《すば》らしい思いつきでしょう。しかしこれもきょう電話で雁金さんが僕に暗示を与えて下すったので、発見できたものですよ。貴官はやっぱり玄人《くろうと》中の玄人ですね
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