マイクロフォン」
「ちょっと待ってくれたまえ」と帆村が手をあげた。
「するとこの人造人間はどうすれば動くかといえば、結局このマイクに何か信号音を送ってやればいいのだネ」
「まあ今のところ、機械の接続はそうなっていますね」
「ハハア――すると、どんな信号音を送ってやれば、どんな風に動くかという人造人間操縦信号簿といったようなものがなければならぬ。さあ皆さん。その辺を探してみて下さい」
「よオし、人造人間操縦信号薄か。――」
 そこで係官の指揮で、刑事たちは一勢に部屋の中を宝捜しのように匍《は》いまわった。
「あッ、これじゃないかなア」
 一人の刑事が、機械戸棚と後の壁との間に落ちこんでいる一冊の薄い帳面をみつけて摘《つま》みだした。
 その帳面の表紙には「ロボットQ型8号の暗号表」と認《したた》めてあった。
「うむ、Q型8号とは、この人造人間ですよ。ホラ、その鉄枠《てつわく》の上にペンキで書いてある」
 係官は、その暗号表を引張りあいながら覗《のぞ》きこんだ。
「ほうほう、荒天――首ヲ左ニ曲ゲル。魚雷――首ヲ前後ニ振ル。なるほど、いろんな暗号が書いてあるぞ。偵察――『時間ガ来タ』ト発言ス
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