《かく》れ家《が》なのである。大岩をたくみにくりぬいてつくってある洞穴は、見るからに身の毛のよだつほど、すさまじい光景を呈している。洞穴内には、バクテリア灯らしいふしぎな青色の光をはなつ灯火《ともしび》がついている。奥へいくと、なかなかひろく、三畳ぐらいの大きさの部屋が二つも三つもつづいている。よくまあこんな部屋があったものだ、――と思うが、じつはそんな部屋がはじめからあったわけではなく、イワノフ博士が人造人間エフ氏をつかってこれだけの洞穴をつくらせたのであるから、さらにおどろかされる。人造人間エフ氏は機械人間であるから、たいへんな力が出るのであった。どんな風にして、洞穴をつくるか、読者諸君はすでに、人造人間エフ氏が戦車をどろどろにとかしたことをおぼえているだろう。あの調子なのである。いや、いかに人造人間が、ばか力をもっているかということは、やがて親しく読者諸君の目の前にあらわれる日が来るであろう。その大事件のことは、いずれ先へいって、くわしく申しのべるつもりだ。
「さあ、こっちへはいっておれ。どんなことをしてもにげられないぞ。もしもにげだす様子がみえると、そのときはすぐに人造人間エフ
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