OSの無電が通じて、わがウラル丸をたすけにきてくれたのだ。だから怪潜水艦は逃げだしたのだ。うわーっ、ば、ばんざーい」
 海面には、いつしか怪潜水艦の姿は消えさっていた。海軍機は、ウラル丸のうえをとおりすぎ、堂々たる編隊のまま、なおも北の方へとんでいく。


   ゆるせない砲撃


 怪潜水艦のあとをおいかけていた海軍機の大編隊が、とつぜん三つの編隊にわかれた。
「おや、どうしたのだろう」
 これを船橋のうえでながめていた正太少年はふしぎにおもった。
 すると、どどーんという大きな音がして、ぱっぱっぱっと高角砲のたまが空中で破裂した。そこはちょうど、編隊のまん中であった。飛行機の方でぐずぐずしていれば今の砲撃で、機体はばらばらになるところだった。たちまちそれと察して、編隊をといた海軍機もえらかった。そうおもっていると、つづいて二回目の砲撃だ。どどーん、ぱっぱっぱっと、ものすごい音をたて、目のくらむようなはげしい光をたてる。船長も船員も、正太もマリ子も、みんなびっくりしてこの砲撃を見守っている。一体、どこからこの高角砲弾《こうかくほうだん》はとんできたのであろうか。
「やあ、飛行機が急降
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