って天の恵みと喜んでいるし、今福嬢までが何がうれしいか喜んでいる。するに事欠《ことか》いて君は、恋敵の弱点であるところの生れつき弱い心臓を、わざわざ強い機械心臓に変えてやって――」
言葉半ばに、突然かれ烏啼は顔色をかえて部屋を飛出した。それから一時間後に、安東の胸には元の心臓がついていた。代用心臓の方は烏啼が持って帰った。二時間後に、新郎仁雄と新婦西枝は紐育《ニューヨーク》へ向け新婚移住の旅に出発していた。
その後、賊烏啼が、あべこべに袋探偵を追駆けまわしているという噂である。
底本:「海野十三全集 第12巻 超人間X号」三一書房
1990(平成2)年8月15日第1版第1刷発行
初出:「オール読物」文藝春秋社
1947(昭和22)年3月号
入力:tatsuki
校正:原田頌子
2001年12月29日公開
2006年8月3日修正
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