なら、決して死なないのである。
それでも、このおどろくべき医学の進歩がおこなわれた当時は、代用臓器がたいへん高価であったし、そして金属で作った関係上、相当に重く、ために代用臓器を装置した人間は、やむをえず歩くことができなくなった。
心臓に肺臓に腎臓などと、三つの臓器をとりかえると、はじめは全重量が人間の体重の三倍ぐらいになったそうで、それでは一人歩きはできない。自分で町をあっちへいったりこっちへいったりするため自動車のうえに乗り放しということにしておくよりほかに道がない。
だが今はそんなことはない。どんどん歩くことができる。それは代用臓器が、たいへん小さくなったことと、そして金属をつかわなくても耐圧性人造肉をつかえば軽くてすむこととなった。
「だから、ほら見てごらんなさい。わたしのからだを。すこしも変じゃありませんでしょ。そしてこんなに軽快にうごけますわ」
と、チタ教授は、フルハタの前で、まるでレヴュー・ガールのように四肢をふってうごいてみせた。
フルハタは、また新しい驚きにぶつかって目をみはらなければならなかった。
「すると、九百三歳のあなたは、やっぱり代用臓器のおかげでも
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