その排水路に、自らの服の裏地を裂いて捨て、万一の救援を恃《たの》んだわけであるが、その排水は例の池へ開いていたのである。
 帆村と春部が、古神の死を前に呆然たる間に、田鶴子は階下へ走って、自らあの殺人回転刀に掛って、愛人のためとはいえ犯した罪を清算した。
 なお、この上、古神の稚気漫々たる謎遊びを覗いてみたい人は、業平のあの歌の上の句の中から、この物語の登場者の姓又は名を拾ってみるのも一興であろう。



底本:「海野十三全集 第11巻 四次元漂流」三一書房
   1988(昭和63)年12月15日第1版第1刷発行
初出:「ロック 増刊 探偵小説傑作選」
   1947(昭和22)年8月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:kazuishi
2005年12月3日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全14ページ中14ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング