来たX線の装置を壁に添い、静かに動かして呉れ給え。此の室は暗室にして、私が独り居ましょう。お嬢様は外へ出ていらっしゃってもよろしいし、おいやでなければ此室に居て下さい。なにか面白いものをお目にかけられるかもしれないのです」
「私はこの室に居とうございますわ」
「そりゃ勇しいことですな。ですが、私の許しを得ないで無暗に動き廻ると、X線を浴びて石女《うまずめ》になるかも知れませんよ。はっはっ」
「まア」
 赤星探偵は時間を打ちあわせ、尾形警部を外に出しました。いつの間にこの建物の外に搬《はこ》んで来たものか、そこには一台の移動式X線装置が置かれてありましたが、警部は時計を見つつ、心得顔にスイッチを抑え、抵抗器の把手《ハンドル》を左右へまわすのでした。ジージーと放電の音響がきこえ、X線は実験室の壁をとおして内部へ入ってゆくようでした。暗室の内では、鉛《なまり》の前垂《まえだれ》をしめた赤星探偵が、大きな石盤のような形をした蛍光板《けいこうばん》を目の高さにさしあげ、壁とすれすれにそれを上下に動かしています。探偵の夜光時計が二分を刻むごとに、彼は一歩ずつ左へ体をうつし、前と同じような恰好《かっ
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