定方向に吹いていると云う。
下から成層圏へのぼっていくと、白昼《はくちゅう》でもまず十キロのあたりでは、空が暗青色《あんせいしょく》となり、それからだんだん暗さを増して、暗紫色となり、二十キロを超《こ》えるころには黒紫色となり、それ以上は黒灰色になって、われわれが普段見ている晴れた夜空と同じようになる。
以上が、成層圏についての私の常識である。
さてこの成層圏を飛行することであるが、なぜこんな高いところをとぶかというと、それは空気の抵抗がすくないため、相当のスピードが経済的に出せるところを狙ったものである。また、低空では、とても出せないようなスピードも、成層圏では比較的楽に出せる。
そういうわけで、遠距離へとぶときには、一旦《いったん》成層圏へとびあがって、そこを飛行するのが時間的にも燃料消費の上にも経済である。
そういうわけなら、大いに成層圏飛行が行われてもいい筈であるが、これがまだあまり行われていないのは、どういうわけであるか。その答は、極《きわ》めて簡単である。成層圏飛行は目下研究中に属していて、われわれの目にふれるところまでに発達していない。
今日各国は、それぞれ秘
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