ない。海外を放浪中《ほうろうちゅう》、わしに生きうつしなところから、何かの役に立つだろうと思って、ひろってきた男じゃ。四馬剣尺の眼をくらますために、わしはチャンフーと名乗って、あの万国骨董堂をひらいたが、わしはしじゅう、出歩かねばならぬからだじゃ。そこで、近所のものに怪しまれてはならぬと思って、わしの留守中は、いつもあの男に影武者《かげむしゃ》をつとめさせていたのじゃ。それがあのようなことになって……」
戸倉老人は眼をしばたたいたが、なるほど、これで、はじめてわかった。いつか山姫山の山小屋で、戸倉老人が断乎《だんこ》として、チャンフーが殺されたなんて、そんなことはありえないのじゃ、といい放った言葉の意味が、これではじめて、納得できるのである。
まことのチャンフーとは、戸倉老人自身であったのだ。
「なるほど、それでだいたいの事情はわかりました。それでは、私のほうに入った情報をお話しましょう」
秋吉警部は手帳をひらいて、
「御老人からいつか、淡路島《あわじしま》一帯を捜索《そうさく》してみてくれというお話があったので、あちらの警察とも連絡をとって、虱《しらみ》つぶしに島内から、その沿
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