早くいけといえばいかんか」
 首領はわれがねのような声で怒号《どごう》した。これは四馬剣尺の不機嫌《ふきげん》なときの特徴である。そんなときにうっかりさからうと、毒棒《どくぼう》の見舞いをうけるおそれがある。さわらぬ神に祟りなしとばかりに、木戸と仙場甲二郎は、こそこそと甲板から下へおりていったが、そのすがたが見えなくなってから、四馬剣尺はよたよたと歩きだした。
 不思議なことに、四馬剣尺、いついかなる場合でも、自分の歩くところを乾分《こぶん》のものに見られるのを、ひどく嫌うくせがあった。唯《ただ》一度、机博士にレントゲンにかけられたときいっしょに博士の部屋までいったが、そのときとても毒棒で、机博士を脅《おど》かして、決してうしろを向かせなかった。そして、部下にあうときは、いつもあの竜の彫物《ほりもの》のある大きな椅子によっているのだ。
 それはさておき、五分たって木戸と波立二が、机博士をひったてて頭目の部屋へ入っていくと、四馬剣尺はいつものように、大きな椅子にふんぞりかえっていた。
「どうだ、机博士」四馬剣尺はわれがねのような声で、
「肩の傷はなおったか。貴様があんなところへメダルをか
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