、いやというほど、博士の向う脛《ずね》を蹴《け》りあげた。机博士はあまりの痛さに、あっと叫んでとびあがったが、すぐに、木戸と波立二におさえつけられた。
「机博士、この脚が棒だというのか。わたしの脚が棒だというのか。さわってみろ。たった一度だけ許してやる。さわってみろ!」机博士は首領のまえにひざまずいて、おそるおそる、首領の両脚にさわってみた。そのとたん、つめたい汗が、つるりと博士の額からすべり落ちた。
 ああ、これはなんとしたことだ。首領の両脚は、たしかに温い血のかよった、人間の脚にちがいなかった。

   人間金庫

 机博士はゲッソリとやつれた顔で、椅子のなかにうまっている。いっぺんに十も二十も年をとったように見える。
 ああ、わからない。昨夜エックス線で見たときには、たしかに首領《かしら》は、長い棒のつぎ脚をした、小男だった。しかるに、いま、中国服のうえからさぐった首領の両脚は、まぎれもなく、血と肉からできたたくましい人間の両脚だった。これはいったいなんとしたことだろう。おれは気が変になっているのではなかろうか。
「そうだ、おまえは気が変になっているのだ」机博士の考えを見抜いたよ
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