うち。
 彼の足は、すでに崖の端を離れた。宙にうかんだ彼の身体!

 ああ、机博士の生命は風前の灯同様である。死ぬか、この変り者の悪党博士? それとも悪運強く生の断崖《だんがい》にぶら下るか?

   ごったがえす山塞《さんさい》

 二少年は、どうしたろうか。
 机博士の暗室《あんしつ》にもぐりこんでいた春木清と牛丸平太郎は、思いがけなくも博士対首領のすさまじい争闘《そうとう》を見た。机博士が首領にあびせかけたエックス線が、首領の正体をがいこつ[#「がいこつ」に傍点]の小男として、緑色の蛍光幕へうつしだした。その怪奇も見た。そのあとで、はげしい器物の投げ合いで、室内はまっくらとなり、その部屋にとどまっていることは大危険となった。
「この部屋からでようよ」
「うん。今ならでられるやろ」
 春木と牛丸とは、小犬のようになって、すばやく部屋からとびだした。
「あッ。ちょっと待った。しいッ」
 牛丸は、春木よりも一足早く外へでたが、とたんにおどろいて、身を引いた。そしてうしろにつづく春木をおしもどした。彼は、廊下《ろうか》の向こうに人影を認めたからであった。
 その人影は、牛丸がとびだすのと
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