すめた。
すると、第二のヒントが見つかった。
「あの黄金メダルを二つ合[#「二つ合」に傍点]わせると、宝のあるところの開き方を知[#「開き方を知」に傍点]ることができるようになっているんだ」
第三行と第四行と第五行とから、これだけの意味が拾えたように思った。
もしこれが当っているなら、黄金メダルの二個の半ぺらを手に入れた上で、二つを合わしてみなくてはならないのだ。メダルの裏にきざみこんである暗号文字のようなものが、二つ合わせて読むと、完全な意味を持つようになって、宝庫《ほうこ》の開き方を知らせてくれるらしい。
少年探偵は、いよいよ勢いづいて、その先を解析した。
第六行から第十一行までは、大して重要なことではないらしいが、そこに書かれてある意味は、
――黄金メダルの半ぺらずつを持ったオクタンとヘザ某《なにがし》とは、仲がわるくて助け合わず、相手の持つ半ぺらを奪おうとして、暗殺者を送った。その結果、両人のうちの誰かが死んだ。そして半ぺらは行方不明となった――
というのではなかろうか。
「いや、それでは、両人のうちの誰かが相手に暗殺者を向けて斃し、そして黄金メダルの半ぺらを奪ったものなら、その半ぺらはその者の所有となり、行方不明になるはずがない。これは意味が通じない。考えなおしだ」
いろいろと考え直したが、もうすこしで分りそうでいて、どうもうまい答がでなかった。少年探偵は、しゃくにさわってならなかったが、そのときはもうそれ以上に頭がはたらかなかった。
それから最後の三行から、次のことを推理した。
――この一片、すなわち、戸倉老人の持っていた半ぺらは、オクタンが持っていた半ぺらであって、自分、すなわち、戸倉老人は、これを地中[#「地中」に傍点]から掘りだしたものである――
どうやら、これだけのことが分った。
オクタンとヘザ某とは、いったい何者であるか、それが分らない。これは文章のはじめの方に、説明があったのだろう。そこのところが焼けてしまったために、とつぜんオクタンとヘザ某の名がでてきて、彼らが何者であるのか、その関係や、二人の時代が分らないのである。
後日になって明らかになったことだが、このように解釈した春木少年の推理は、原文の意味の七分どおり正しく解いているのであった。少年探偵としては、及第点であった。
このとき以来、彼は、右の解釈を基《もと
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