少年探偵団の同志たちも手に汗《あせ》握《にぎ》って、戸倉老人と秋吉警部の顔を見くらべている。
 秋吉警部もにっこり笑って、
「そうです。われわれもだいたい、そういう見込で、ヘクザ館には厳重《げんじゅう》な監視《かんし》をおいています。ところで戸倉さん、あなたの戦闘準備はどうですか。脚のぐあいがよかったら、いっしょにでかけたら、どうかと思うのですがね」
「むろん、いきます。なに、これしきの火傷ぐらい」
「警部さん!」そのとき、横から緊張した声をかけたのは、少年探偵団の探偵長、春木少年だった。
「ぼくたちもつれていって下さい。ぼくたちも四馬剣尺の正体を知りたいのです」
 それを聞くと秋吉警部も微笑《びしょう》して、
「むろんつれていくとも、君たちこそは今度の事件でも、最大の功労者なんだからね」
 ああ、こうして、戦闘準備はなった。兇悪《きょうあく》四馬剣尺を向うにまわして、少年探偵団の働きやいかに。淡路島の上空に、いまや、ただならぬ風雲がまきおこされようとしている。

   ヘクザ館《かん》

 淡路島《あわじしま》の中央部、人里《ひとざと》はなれた山岳地帯のおくに、ヘクザ館という建物がある。
 その昔、国内麻の葉のごとく乱《みだ》れた戦国の世に、スペインよりわたってきた、一宣教師によって建てられたという伝説以外、誰もこの、ヘクザ館の由来《ゆらい》を知っているものはない。
 爾来《じらい》、幾星霜《いくせいそう》、風雨《ふうう》にうたれたヘクザ館は、古色蒼然《こしょくそうぜん》として、荒れ果ててはいるが、幸《さいわ》いにして火にも焼かれず、水にもおかされず、いまもって淡路島の中央山岳地帯に、屹然《きつぜん》としてそびえている。
 いつのころか、ここはカトリックの修道院《しゅうどういん》になって、道徳|堅固《けんご》な外国の僧侶《そうりょ》たちが、女人|禁制《きんせい》の、清い、きびしい生活を送り、朝夕、聖母《せいぼ》マリヤに対する礼拝《れいはい》を怠らない。
 それは秋もようやくたけた十一月のおわりのこと、二人の教師に引率《いんそつ》された中学生五名が、このヘクザ館を見学にきた。
 教師のうちの年老いたほうが、院長に面会して、館内を参観させてもらえないかと申込むと、スペイン人|系《けい》の老院長はすぐ快《こころよ》く承諾して、若い修道僧を呼んでくれた。
「ロザリオ、この
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