ってきたが、そこで急に進路をかえると、南方の海上へでていった。そして、淡路島《あわじしま》の東海岸ぞいに、大阪湾の出口のほうへでていったが、やがて淡路の島影から、意味ありげに明滅《めいめつ》する灯火《あかり》をみると、しだいにその上空へすすんでいった。
 ヘリコプターに向って、発火|信号《しんごう》をしているのは淡路の島かげに停泊《ていはく》した、三百トンくらいの小汽船《しょうきせん》、その名を黒竜丸という。
 ヘリコプターは黒竜丸のうえまでくると、ピタリと進行をとめ、しだいに下降してくる。やがて縄梯子のさきが甲板《かんぱん》にふれると、四馬剣尺はよたよたと、縄梯子から甲板におり立った。それを見て、バラバラとそばへ寄ってきたのは木戸と仙場甲二郎。波立二はヘリコプターの操縦をしているのである。
 四馬剣尺は甲板に仁王立《におうだ》ちになり、
「おまえたちは向うへいけ。それから五分たったら、机博士をおれの部屋へつれてこい。よいか、わかったか。わかったら早くいけ」
「しかし、首領《かしら》、首尾はどうだったのです。本物の黄金メダルの半ペラは、手に入ったのですか」
「そんなことはどうでもいい。早くいけといえばいかんか」
 首領はわれがねのような声で怒号《どごう》した。これは四馬剣尺の不機嫌《ふきげん》なときの特徴である。そんなときにうっかりさからうと、毒棒《どくぼう》の見舞いをうけるおそれがある。さわらぬ神に祟りなしとばかりに、木戸と仙場甲二郎は、こそこそと甲板から下へおりていったが、そのすがたが見えなくなってから、四馬剣尺はよたよたと歩きだした。
 不思議なことに、四馬剣尺、いついかなる場合でも、自分の歩くところを乾分《こぶん》のものに見られるのを、ひどく嫌うくせがあった。唯《ただ》一度、机博士にレントゲンにかけられたときいっしょに博士の部屋までいったが、そのときとても毒棒で、机博士を脅《おど》かして、決してうしろを向かせなかった。そして、部下にあうときは、いつもあの竜の彫物《ほりもの》のある大きな椅子によっているのだ。
 それはさておき、五分たって木戸と波立二が、机博士をひったてて頭目の部屋へ入っていくと、四馬剣尺はいつものように、大きな椅子にふんぞりかえっていた。
「どうだ、机博士」四馬剣尺はわれがねのような声で、
「肩の傷はなおったか。貴様があんなところへメダルをか
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