な、な、なに、猫女……」
 と、闇のなかでチャンウーの声が大きくあえいだ。
「ええ、そう、暗闇のなかで、ちゃんと眼の見える猫女よ。逃げても駄目。ちょっと相談があってやってきたんだから、おとなしくしていて頂戴《ちょうだい》。バカ! 何をする!」
 またもや、ズドンとピストルの音。あっという悲鳴《ひめい》とともに、何やらゴトリと床に落ちる音がした。
「ほ、ほ、ほ、だからいわないことじゃない。闇の中でも眼の見える、猫女だといってるじゃないの。ポケットからピストルをだそうとしたって、ちゃんと見えているんだから」
 春木、牛丸の二少年は、顔見合せて驚いた。それじゃ猫女という女、ほんとに闇の中でも眼が見えるのか。
「さあ、これであたしのいうことが、嘘《うそ》じゃないってわかったでしょう、わかったらおとなしくしておいで。待ってあげるから、早く右手に繃帯《ほうたい》をしておしまい。ほらほら、そんなに血が流れているじゃないの。ああ、やっと繃帯ができたわね。それじゃ、奥の部屋へいきましょう。ここじゃ話もできないから」
「いったい、話って、何んのことだ」
「黄金《おうごん》メダルのことよ」
「黄金メダル? お、黄金メダルってなんのことだ」
「ほ、ほ、ほ。白ばくれたって駄目。こっちは何度もいうように、闇のなかでも眼の見える猫女よ。おまえがいまどんな顔をしたか、ちゃんと知ってるよ。これ、よくお聞き。おまえの双生児《ふたご》のチャンフーは、いつか姉川五郎《あねがわごろう》という男から、黄金メダルの半ペラを買いとった。そして、それから間もなく、顔に大きな傷のある、スペイン人みたいな男に、黄金メダルの半ペラを売りつけたが、そのメダルは贋物《にせもの》だったんだよ。だから、この店にはまだ、本物のメダルがあるはずなんだ。それをここへだしておくれ」
「しかし、それゃア、チャンフーの買ったのが、贋物だったんじゃなかったのか」
「お黙り!」猫女は鋭い声で、
「こっちはちゃんと調べがいきとどいているのよ。姉川五郎という男にも当ってみて、そいつがどこで黄金メダルを手に入れたか、わかっているんだ。それはたしかに贋物じゃなかったのよ。チャンフーは本物をどこかへしまいこんで、贋物を飾窓に飾っておいたんだ。さあ、ここでは話ができない。奥へいってゆっくり話をつけようじゃないの」
 それからしばらく、チャンウーと猫女の押問
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