よ」
「そうや、そうや。ぼく、ひとつあの屋根へおりてみようか」
牛丸平太郎が、ハリキって、窓からからだを乗りだすのを、春木少年はおしとどめ、
「いや、ちょっと待ちたまえ。もう、しばらく、あたりが暗くなるまで待とう」
それから一時間ほど待つと、あたりはすっかり暗くなった。チャンウーの店の天窓からは、あいかわらず、ほのぐらい光がもれている。
「春木君、もう、そろそろ、ええやないか」牛丸平太郎は、さっきから、腕がムズムズしているのである。
「そう。もうそろそろいい時刻だね。ところで、誰が偵察にいくか、これは公平を期《き》してくじ引きということにしよう。ひとりじゃ心細いから二人一組となっていくことにしようじゃないか」
春木少年のこさえた、五本のこよりを引いた結果、牛丸少年と春木君がいくことになった。ほかの少年たちは失望したが、これまた、あとでどんな役があるかも知れないからと慰めて、いよいよ、春木、牛丸の二少年が、偵察にいくことになった。
ちょうどいいあんばいに、このビルディングの側面《そくめん》には、火事などの場合にそなえて、非常梯子《ひじょうばしご》がついている。その非常梯子は、チャンウーの店のすぐそばをとおっており、その間、半間《はんげん》とはなれていない。春木、牛丸の二少年は人眼をさけるために、窓から外へでて、軒蛇腹《のきじゃばら》をつたって非常梯子にとびうつった。それはかなり冒険だったけれど、身の軽い二少年には、大してむずかしい仕事でもなかった。
非常梯子をつたって一階おりると、すぐ眼の下にチャンウーの店の屋根がある。二少年は猿のように身軽にその屋根にとびうつった。屋根はかなりの傾斜《けいしゃ》だが、身のかるい少年には、天窓のところまで這《は》っていくのは、大してむずかしい仕事でもなかった。天窓には厚い針金入りガラスがはまっている。それは昼間、採光《さいこう》をよくして、陳列品《ちんれつひん》をひき立たせるためである。
ふたりが天窓まで這っていってなかを覗くと、ほの暗い電灯のなかに、珍奇《ちんき》な仏像《ぶつぞう》や、奇怪な大時計や、古めかしい鎧《よろい》など、さまざまな骨董品が、ところせまきまでにならんでいた。そして、店の一隅《ひとすみ》に、さっき立花先生がもちこんだ、あの大花瓶《だいかびん》もおいてあった。
春木、牛丸の二少年は、息をころして、この
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