まだだろ。それじゃ、前祝《まえいわ》いに夕飯を御馳走しよう」
 と、親切な小玉氏は、五少年をひきつれて、近所の中華料理店へいって夕飯をふるまった。
「それじゃ、君たちの成功をいのるよ。しかし、くれぐれもいっとくが、自分たちがまだ子供であることを忘れちゃいかんよ」小玉氏から激励《げきれい》と忠告《ちゅうこく》をうけて、中華料理店のまえでわかれた五少年が、すでに日の暮れた路《みち》を、ビルディングのほうへかえってくると、そのとき、万国骨董商のなかからとびだしてきた婦人があった。
「あっ、あれは立花先生じゃないか」春木少年がいちはやく、先生のすがたを見附けて注意すると、
「そうだ、そうだ。立花先生だ。先生は、なんの用があって、こんなところへきたんやろ」
 牛丸平太郎も不思議そうな顔をしている。小玉、横光、田畑の三少年もギックリとしたような顔を見合せた。しかし、幸い立花先生は気がつかなかったらしく、男のような足どりで、スタッスタッと黄昏《たそがれ》の闇のなかに姿を消した。
「どうも変だね。ぼくはまえから、立花先生を変だと思っていたんだよ」
 春木少年はあるきながら、考えぶかそうに呟《つぶや》いた。
「変て、どういうふうに?」小玉少年がききかえした。
「だってね、このまえ、チャンフーが殺された日にも、立花先生は万国堂のまえを通りかかって、飾窓をのぞいたというんだろ。そして、そのとき、飾窓のなかには、黄金メダルの半ペラが飾ってあったんだ。しかもそのつぎの日、金谷先生がそのことをしゃべると、立花先生、とてもいやな顔をしたという話だよ」
「うん、そういえば、立花先生はよく学校を休むね。それにどこへいくのか、ときどき寄宿舎《きしゅくしゃ》からいなくなることがあるという話だよ」田畑少年がいった。
「よし、それじゃ、明日から手分けして、誰かが立花先生を監視することにしようじゃないか。監視なら、子供にだってできるもの」横光少年の言葉だった。
「うん、それがいい。いずれ、明日になったら、誰が立花先生の監視にあたるかきめよう」
 こうして、また、新しい探偵の方針がたったので、一同は、満足して、三階の応接室へかえってきた。窓から見ると、チャンウーの店から、ほの暗い光がもれている。
「あ、見給え。チャンウーの店には天窓《てんまど》があるよ。あそこから覗《のぞ》けば、店の様子がよく見えるにちがいない
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