は陰謀だ。わしはミルキ国の永遠の統治者だ。お前にはまかさんぞ」
「ホホホホ。何とおっしゃっても、もうこの国も閣下も、わたしのものですわ。わたしは今ではこの国一番の智慧者なんですもの。閣下は私を力になさるより外に、途がないのですもの。ホホホホ」
 女大臣アサリ女史は、頬骨の高い顔をつきだして、ふてぶてしく哄笑した。
 ミルキ閣下は、やっと今になって、女大臣の策動にかかって、愛する美しきミルキ夫人と智慧の神コハクを喪ったことを知り、じだんだ踏んだが、後悔は先に立たなかった。彼は今や、女大臣アサリの男妾にまで下落しようとしている自分自身に気がついた。
 それから三十分ほどたった後のことであった。突如として非常警報がミルキ国の全土を震駭《しんがい》させた。すわ、何事であろう。
 或いは高く或いは低く鳴奏される警報を耳にした国民は、誰の顔もいいあわせたように不安の想いに青ざめて、高声器の前に集まった。それは天文部長ホシミから発せられたものであった。
「警報! 天文部長発表。八時四十分観測員は北極星より南東十度の方角に当って、奇怪なるロケット艦を発見せり、その後引続き観測の結果、該ロケット艦の進路
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