さん。幽霊使いなんてものがあってたまるものですか。はははは」
 と蜂矢は笑ったが、そこで言葉をあらためて、
「木見学士が大金庫を持ちだしたわけは、課長さんがよくご存じなんでしょう。あの大金庫の中には、木見学士が非常にほしがっているものが入っていたのです。あなたは、僕に相談なしに、まずいことをしました。だから原因はあなたにあるのです」
 この蜂矢のことばに、課長は何もいうことができなかった。正にそのとおりだ。
 蜂矢は椅子から立上ると課長の机上から木見学士の研究ノートの包をとり、さよならを告げた。
「大金庫はやがてかえってくるでしょうから、心配はいらないでしょう」
 蜂矢は、こんなことばをのこしていった。

   ふしぎな盗難

 捜査課で保管していた重要物件が入っている大金庫を奪われてしまったので、田山課長はその善後処置に苦しんだ。
 課員たちも、家へかえるどころか、そのまま課長の机のまわりに集り、これからどうして大金庫を取りもどすか、総監へはどう報告をするか、捜査にさしつかえがおこるがそれをどうしたらよいかなどと、むずかしい問題について会議をつづけねばならなかった。
「とにかく壁をぶ
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