っきり駄目なんで。……課長が無理やりにわしにおしつけるのはいいが、さあ幽霊が花道へ現われたら、とたんに幽霊接待係のわしが白眼をむいてひっくりかえったじゃ、ごめいわくはわしよりも課長さんの方に大きく響きますぜ。願い下げです。全くの話が、こればかりは……」
古島老刑事はひどく尻込《しりごみ》をする。蜂矢探偵はにやにや笑ってみている。田山課長の顔がだんだんにがにがしさを増してきた。
「私が命令した以上、ぜいたくをいうことは許されない。ひっくりかえろうと何をしようと幽霊係を命ずる」
「わしの職掌《しょくしょう》は犯人と取組《とっくみ》あいをすることで、幽霊の世話をすることは職掌にないですぞ」
「あってもなくても幽霊係をつとめるんだ。もっとももう一人補助者として金庫番の山形《やまがた》君をつけてやろう」
「課長。よろこんで引受けます」
柔道四段の猛者《もさ》の山形巡査が、奥の方から手をあげて悦《よろこ》ぶ。古島老刑事は、
「おい山形君。そんなことをいうが、大丈夫かい」
とそっちを睨んだが、係が二人にふえたのにやや気をとりなおしたか、ほっと軽い吐息を一つ。
「じゃあ、これで手筈《てはず》はき
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