を押して、蜂矢探偵が大きな包《つつみ》を小脇にかかえて入ってきたのには、課長以下眼を丸くしておどろいた。
「やあお早うござんす。幽霊を釣りだす餌《えさ》をもってきましたよ」
 蜂矢探偵は血色のいい顔を課長の方へ向けて笑うと、包をぽんぽんとたたいてみせた。
「朝から人をかつぐのかね。いい加減にして貰おう。これでも気は弱い方だから……」
 田山課長は、挨拶《あいさつ》に困ったらしくて、こんなことをいった。
「今日は大変な御謙遜《ごけんそん》で。……ところでこの幽霊の餌を、課長の机の上におく事にしたいですね。まちがうといけないから、他の書類は引出《ひきだし》へでもしまって頂いて、机の上はこの餌だけをおくことにしたいですね」
 と、蜂矢はどしどしと説明をすすめた。
「仕事を妨害しては困るね」
 課長はにがにがしく顔をしかめた。
「仕事を妨害? とんでもない。木見雪子事件を解くことは、あなたがたにとって最も重要な仕事じゃありませんか。少くとも都民はこの事件の解決ぶりを非常に熱心に注目しているのですからね。なんなら今朝の新聞をごらんにいれましょうか、そこには都民の声として……」
「それは知っている
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