るのかね」
「いや、大した負傷ではありませんが、なにぶんにも意識が回復《かいふく》しません。こんこんとねむっているかと思うと、ときどき大きいこえでうわごとをいうのです。よほどここの所をやられているようですな」
と、成宗は自分の頭を指した。
「そうか。そのようなこともあろうかと思って、警察医の黒川《くろかわ》君をつれてきたから、さっそく診察して手当をさせよう。おい黒川君。頼むぞ」
課長はそういうと、成宗巡査をうながして川北先生のねている二階へと階段をのぼっていった。
「さっきからハチヤさんという方が見えていますが……」
と、先へ階段をのぼる成宗巡査があとに続く田山課長へいった。
「なに、ハチヤ!」
「ええハチヤさん。課長とご懇意《こんい》だということでしたが」
「わしは――」
わしは知らんといいかけたときには、課長は既に階段をのぼり切っていた。
「やあ、お先へ」
課長はいきなり声をかけられた。こげ茶の服を着た長身面長の三十五六歳の人だった。ウルトラジンの色眼鏡が彼の目をかくしている。
「なあんだ蜂矢探偵どのか。例によって早いところ、だし抜いて天晴《あっぱれ》だな」
課長の言葉
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