や往来などの現場が隣組総出の説明と共に、一応念入りに調べられた。
その結果、係官は木見武平を始め一同に対し、さらに気をつけるように命令した上で、
「しかし幽霊説は問題にしませんよ。そういう荒唐無稽《こうとうむけい》なことの捜査は、本庁ではやりませんよ。だから、お嬢さんの失踪先をなお一層探すことと、川北という教師の行方及びその素行調査をすること。この二つの現実なる事件について、できるだけのことをします。あなた方も、今後は気をしずめて、もっと冷静に物を見、そして具体的な証拠をおさえて、報告するようにして下さい」
と、さとした。
隣組の中には、この訓戒を納得した者もいたが、また反対に不満に感じた者が少くなかった。係官の口ぶりでは、この隣組の一同が、さも迷信家の集まりであって、この世にありもしない幽霊の幻影を見て、愚かにもさわぎたてているという風に聞えたからである。とにかく係官のこのような態度から推《お》して考えると、係官はあまりこの事件について熱心ではないらしい。
雪子の両親の失望、隣組の人々の不満、そして道夫の憤激――道夫の憤激は、彼が拾った色眼鏡を係官に示す機会を遂に失ってしまっ
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