《おどろ》いた。話は分るけれど、そんな不思議なことが吾が身の上に在るとは、なんという呪わしいことだろう。それにどんなにか慕《した》わしく思っていた貞雄が、血を別けた兄妹であったとは、なんという悲しいことだろう。
「君の愕くのは尤《もっと》もだが、まだまだ愕くべきことが控えているのだよ。――ところでいよいよ『三人の双生児』の謎だが、これは解いてみると案外くだらないものさ。こんなことを日記にかきつけたのは真一の父親だった。彼は船乗りだった。船乗りの語彙でもって『三人の双生児』といったことをまず念頭に置かなくちゃいけない。実は君の方は普通の健全な人間だったけれど、真一君の方はそうでなかった。彼は畸形児だったのだ。手も足も胴体も一人前だったが、気の毒なことに首が二つあった。つまり両頭の人間だったのだ。そういえば思い当るだろうが、真一君の肩にあるあのいやらしい瘢痕《きず》のところには、昔もう一つの首がついていたのだ。その首にはチャンと名前がついていた。西村真二というのだ。いくら子供が可愛くても、この両頭の畸形児を人に見せるわけにはゆかない。そこであの座敷牢があるのだ。君は女の児だと思っていたろう
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