だ」
「ふしぎだ。とにかくそばへ行ってみよう」
「おいおい、待ちたまえ。あれは危険なものじゃないか」
「そういえば、昔の写真に出ている機雷《きらい》みたいな形をしていますわね」
「ふん、機雷に似たところもあるけれど、機雷は海の中にあるもので、こんな山の中にあるはずがない」
四人の登山者は、それから谷間をつたわって、下手へおりていった。みんな何となくおそろしいが、しかし自分たちで発見したものだから、ぜひその正体をたしかめたかった。
ようやくそばへ近よることが出来た。
沢のまん中に、直径《ちょっけい》三メートルもあると思われる金属球が、でんと腰をすえていた。表面はぴかぴかに光沢《こうたく》を放っている。十字にバンドがしてある。アイ・ボルトが何本かうちこんである。一同はそのまわりをまわってみた。
「や、字が書いてある」
たしかに字が書いてある。書いてあるというより、字を酸水素焔《さんすいそえん》かなんかで焼きつけてあるといった方が正しいであろう。
×取扱注意。扉Aを開け×
それだけのことが書いてある。
はて、この球は一たい何であろう。
冷凍人間《れいとうにんげん》
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