っちへ侵入《しんにゅう》して来たものだ。そしてその星に住んでいるいきものは、わが地球人類よりもずっとかしこいと思われる。さあ、そういう星に来られては、われわれはちえも力もよわくて、その星人《せいじん》に降参しなければならないかもしれない。そのような強敵《きょうてき》を前にひかえて、同じ地球に住んでいる人間同士が戦いをおこすなどということは、ばかな話ではないか。そのために、われわれ地球人類の力は弱くなり、いざ星人がやってきたときには防衛力《ぼうえいりょく》が弱くて、かんたんに彼らの前に手をつき、頭をさげなければならないだろう。――それをおもえば、今われわれ人類の国と国とが戦争するのはよくないことである。つまり、『今おこりかかっている戦争はおよしなさい』と警告したのです」
「ああ、なるほど、なるほど、そのとおりですね」
「それが両国によく分ったと見えましてね、爆発寸前というところで戦争のおこるのは、くいとめられたんです。お分りですかな」
「それはよかったですね。しかし、そんならなぜ、あのようにたくさんの原子弾《げんしだん》の警戒塔や警報所や待避壕《たいひごう》なんかが、今もならんでいるので
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