あるかというと、わが地球をねらってこちらへ進んでくるふしぎな星があるということだ。それは彗星《すいせい》ではない。その星の動きぐあいから考えると、その星は自由航路をとっている。つまり、その星は、飛行機やロケットなどと同じように、大宇宙を計画的に航空しているのだ」
「へえーッ。するとその星には、やっぱり人間が住んでいて、その人間が星を運転しているんですね」
「ま、そうでしょうね――だからわれわれは、一刻もゆだんがならないというのです。その星はわが太陽系のものではなく、あきらかにもっと遠いところからこっちへ侵入《しんにゅう》して来たものだ。そしてその星に住んでいるいきものは、わが地球人類よりもずっとかしこいと思われる。さあ、そういう星に来られては、われわれはちえも力もよわくて、その星人《せいじん》に降参《こうさん》しなければならないかもしれない。そのような強敵を前にひかえて、同じ地球に住んでいる人間同士が戦いをおこすなどということは、ばかな話ではないか。そのために、われわれ地球人類の力は弱くなり、いざ星人がやって来たときには防衛力が弱くて、かんたんに彼らの前に手をつき、頭をさげなければなら
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