りと震《ふる》え、天井に長々と罅《ひび》が入った。
「うわーっ、めずらしいじゃないか、爆裂音だ。どうしてこんな地下まで、紛《まぎ》れこんできたのかね」
議長さえ、まだそれほどの険悪《けんあく》な事態の中にあるとは考えないで、爆裂音を身近くに聞いたことを興《きょう》がっている。
だが、時間がたつに従って、一座は、今日の爆撃がたまたま地隙《ちげき》を縫って、深い地下に達したというような紛《まぐ》れあたりのものでないことに気がついたのだった。爆裂音は、次第に大きさを増し、そしてピッチを詰めてきた。
議長が、議案をそっちのけにして、びりびり震動する周囲の壁を見廻した。
「どうも今日の爆撃は変だね。いやに地底ふかく浸透《しんとう》するじゃないか。おい君、対空本部へ電話をかけて事情を聞いてみよ」
議長は私に命令した。
私は早速《さっそく》、対空本部|附《つき》の漢師長《かんしちょう》を呼びだした。そして、いつもに似合わしからぬ爆弾の深度爆裂《しんどばくれつ》についてたずねたのである。
すると漢師長は、あたりを憚《はばか》るような口調《くちょう》になって、私に云ったことに、
「それは、い
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