《ホンコン》などに対して、台湾の屏東《ひょうとう》飛行連隊がある」
「屏東って、台湾のどの辺ですか」
「ずっと、南の方さ。台南よりももっと南で、中心よりは西側にあってね。ほら、鳳山《ほうざん》守備隊の近くだよ」
「ははあ、馬公《ばこう》の要塞も、割合、近いんだなア」
「それから、ずっと本州の中心へ向っては、帝都を遠まきにして、要地要地に空軍が配置されている。西の方からいうと、まず琵琶湖の東側に八日市の飛行連隊がある。それから僅か七十キロほど東の方に行った岐阜県の各務ヶ原《かがみがはら》に、これもまた陸軍の飛行連隊が二つもある。大阪附近も大丈夫だし、浦塩《うらじお》から来ても、これだけ固まっていればよい。帝都の西を儼然と護っているわけサ」
「浜松にも飛行連隊があったネ、兄さん」
「そう。浜松の連隊は、太平洋方面から敵機が襲来するのに対し、非常に有効な航空隊だ。それから、いよいよ東京に近づいてゆくが、東京の西郊に、立川飛行連隊がある。南の方で東京湾の入口|追浜《おっぱま》には海軍の航空隊がある。鹿島灘《かしまなだ》に対して、霞ヶ浦《かすみがうら》の海軍航空隊があるが、これは太平洋方面から襲
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