ッと斬った。そして金属Qは室外へとび出したのです。そこは廊下です。廊下を博士の居間《いま》のある、奥のほうへととんでいく途中、田口巡査のほおを斬った。そうでしょう。こう考えて行けば、われわれは金属Qを追跡していることになる。そう思われませんか」
蜂矢の顔は、真剣だった。
「骸骨《がいこつ》の四」とQと
「なるほど。そう考えると、すじ道がたつ。感心したよ、蜂矢君」
検事はポケットからタバコを出して、火をつけた。
「さあその先です」
と蜂矢はこぶし[#「こぶし」に傍点]でじぶんの手のひらをたたいた。
「それから先、金属Qはどこへ行ったかわからない。わかっているのは、あなたがたが、博士に談判して、倉庫や研究室をおしらべになったことです。それから爆発が起こったというわけです」
「ちょっとまった、蜂矢君。れいの『骸骨の四』ね。第二研究室の箱の中からすがたをけしていて、針目博士がおどろいたあれだ。あの『骸骨の四』と金属Qとはおなじものだろうか。それとも関係がないものだと思うかね」
検事も、いつの間にか、蜂矢のおとぎばなしに出てくる仮定を、しょうしょう利用しないではいられなくな
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