「ごらんになるとおり、ぼくが実験に使う部屋です」
「どういう実験をしますか」
「どういう実験といって――」
 と博士は笑いだした。
「いろんな実験です。数百種も、数千種も、いろいろな実験をこの部屋ですることができます。みんな述《の》べきれません」
「その一つ二つをいってみてください」
 検事はあいかわらずがんばる。
「そうですね。細胞の電気的反応をしらべる実験を、このへんにある装置をつかってやります。もうひとつですね。ここにあるのは生命をもった頭脳から放射される一種の電磁波を検出する装置です。ことに、劣等な生物のそれに対する装置です。ことに、劣等な生物のそれに対して検出しやすいように、組み立てたものであります。これぐらいにしておきましょう。おわかりになりましたか」
「今のところ、それだけうかがえばよろしいです。それでは室内をいちおう捜査しますから、さようにご承知ねがいたい」
「職権をもってなさるのですから、とめることはしません。しかしたくさんの精密器械があるのですから、そういうものには手をつけないでください。万一手をつける場合は、ぼくを呼んでください。いっしょに手を貸して、こわさないよ
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