る金属ができあがるのだ。生命も思考力も、電気現象《でんきげんしょう》にもとづいているのだから、そういうことを知っている者なら、かんたんにやれるのだ」
「なるほど」
「そこでわしは、これからこの部屋で、生きている金属をじゃんじゃん作ろうと思う。そしてそれを人体に住まわせる。かまうことはない、生きている金属は人間よりもかしこくて、強力なんだから、思いのままに人間を襲撃《しゅうげき》して、そのからだを占拠《せんきょ》することができるんだ」
 おだやかならない話になったので、蜂矢探偵は、からだをしゃちこばらせる。そんなことならいつ自分も、そのへんからとび出してきた怪金属のため、からだをのっとられるかもしれないと思えば、不気味《ぶきみ》である。
 博士は、そんなことにはおかまいなしに、しゃべりつづける。
「それを進めていくと、この世の中に金属人間がたくさんふえる。たびたびいうとおり、金属人間は、ふつうの人間よりもかしこいのだから、金属人間群は、ふつうの人間が百年かかってやりとげる科学の進歩を、金属人間は二、三年のうちにやりとげてしまう。世の中は、急速に進歩発展するだろう。すばらしいことじゃないか
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