い》をまっとうしているとしたら、そのうちにきっと奇妙な事件がおこり、新聞やラジオの大きなニュースとして報道されるだろう。諸君は、それに細心《さいしん》の注意をはらっていなくてはならない。これは常識をこえたあやしい出来事だと思うものにぶつかったら、なにをおいても、検察当局へ急報するのが諸君の義務であると思う。
 Qは、人間よりもすぐれた思考力と、そして惨酷《ざんこく》な心とを持っているので、もしかれが生きていたなら、こんどはじめる仕事は、われわれの想像をこえた驚天動地《きょうてんどうち》の大事件であろうと思う。
 ただに日本国内だけの出来事に注意するだけでなく、広く全世界、いや宇宙いっぱいにも注意力を向けていなくてはならない。
 大魔力《だいまりょく》を持った人造生命《じんぞうせいめい》の主人公Qこそ、小さい日本だけを舞台にして満足しているような、そんな小さなものではないのだから。



底本:「海野十三全集 第12巻 超人間X号」三一書房
   1990(平成2)年8月15日第1版第1刷発行
初出:「サイエンス」
   1947(昭和22)年12月〜1949(昭和24)年2月号
入力:tatsuki
校正:原田頌子
2001年12月28日公開
2006年8月1日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全44ページ中44ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング