摘《つ》まんで話をした。――ジュリアの話によると、彼女は噴泉を浴びているうちに、隣室の千鳥が只ならぬ悲鳴をあげたので、愕《おどろ》いて隣室へ飛びこんでみると、どこから入ったか、一人の怪漢が千鳥を襲っているので、背後《うしろ》から組みついたところ、忽《たちま》ち振り倒されて気を失った。気がついたら、こんなところに寝ていたというのであった。
「その怪漢の顔とか、服装には記憶がありませんか」
「咄嗟《とっさ》の出来ごとで、何も分らないそうだ。背後《うしろ》から組みついたので、顔も見えないというのだよ」
そのときジュリアは目をパッチリ明いて、もう大丈夫だから、竜宮劇場の出場に間に合うよう帰りたい。西一郎を呼んでくれるようにと云った。
「ああ、西一郎。彼はどこへ行ったんです」
「一郎君が見えないネ。――」
と不審《ふしん》をうっているところへ、扉《ドア》が明いて、彼がヌッと入って来た。
「オイ君はこの騒ぎの中、どこにいたのだい」
と課長は目を光らせていった。
「ちょっと外へ出て、畠を見ていたのです。都会人はこんなときでなければ、野菜の生えているところなんか見られませんよ」と云ったけれど、何
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