り。
◯松平維石君来宅。原稿のことにていろいろと難儀な身の上ばなしを聞く。わが体験をはなし激励し置きたり。
◯延原さんが誘いに寄ってくれる。これも「自信なし自重したい」と弁じて謝す。江戸川さんの返金を頼んだ。きょうは蒲田で脱線して混み、そしてオーバーの釦《ボタン》をとられたため品川で乗換るのを見合わせて東京駅まで乗り、そこで乗客がすいたので床をさがして傷だらけになった釦をひろいあげた由。英が糸にてつける。
◯自由出版の使者来る。
◯開明社のお使い来る。「火星探険」が出来て六十部届けられた。印税の一部も。
◯エホンの稲垣さん来宅。自園でとれた南京豆一袋いただく。子供の大好物なり。原稿料を持参せられ、又次のものを頼まる。それと共に橋本哲男君の原稿をかえされ、意見を陳《の》べられた。甚だ参考になること故、近く哲男君へ伝えようと思う。
◯ふじ書房の近藤氏来宅。どうして居らるるか、素人のこと故、或いは失敗せられしかとこの間うちから心配していたところなので、うれしく会う。スローモーらしいが、仕事はまず順調にいっていると聞き安堵した。私の本は来年にまわるので、その挨拶に来られしわけ。

 十二月三十
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