日本政府自らなすべかりし事なるをマ司令部によりて断行されたるは笑止なれども、そこが敗戦国の虚脱ぶりならん。宮仕えがいやにて昭和十三年|逓信省《ていしんしょう》を去りし私として本令の施行は何等興味なし。
◯萩原大祖母さん、昨夜死去。享年八十歳。お悔みに行く。(香奠《こうでん》金四拾円)
◯小栗虫太郎、信州より出て来る。うちへ泊る。談尽きず。彼、大元気なり、雄鶏社の話もスラスラ行きけるよし。
◯その前に木々高太郎《きぎたかたろう》[#探偵小説家、生理学者。本名は、林髞]氏来宅。久振りに将棋を囲む事四回、三勝一負。
 この友は益々公私共に溌溂《はつらつ》活躍中。

 一月十日
◯新聞に、マ司令部のスポークス・マンと新聞記者との省内会合席上、出版界の話が出たと伝う。近く処理あるべく、執筆者も亦《また》適宜処断あるやに伝う。
 これも然方なし、勝てば官軍、負くればなり。
◯岸本大尉始めて来宅、徹[#永田徹郎。長女朝子の婿。元、海軍大尉]ちゃんの奮戦ぶりをちょっぴり伺う。
◯偕成社の名作少年小説に「探小」を入れることはきまった。同社復興のため、私は同情執筆を快く承諾したわけだが、他の友人に執筆をす
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