戦のはじらいと苦しさを知らざりしによるとなし、この上は堂々と負けて、責任ある支払いをなし、敗戦という宝物を生かして行こうという。涙が出て来て仕方がなかった。両氏とも、昔なら検閲にひっかかる底のつっこんだ話をした。こうなくてはならない、本当のものを発見し、自覚し活用するには。
◯海野十三は死んだ。断じて筆をとるまい。口を開くまい。辱かしいことである。申訳なき事である。
八月二十八日
◯本日、厚木へ米先遣部隊、空輸にて着陸す。テンチ大佐以下百五十名。
◯その前日に、十七隻の米艦相模湾に入港。本日は約七十隻にふえ、戦艦ミズーリ号[#降伏文書の調印式場として使われた]もその中に在り。
◯B29やグラマンが屋根すれすれに飛びまわる。そのたびに窓から首を出してみる。子供は屋根へのぼる。
◯朝、村上君来宅ありし。
八月二十九日
◯広島の原子爆弾の惨害は、日と共に拡大、深刻となる模様である。その日は別に何でもなかった人が、何でもないままに東京に戻って来た。するとだんだん具合がわるくなり、食事がのどにとおらなくなることから始まって変になり、医師にかかった。医師がしらべてみると白血球が十分の一位に
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