すると「反転東進」の情報が入り、しかも数編隊ありということなので、これはこっちへくるなと思い、表の八畳に腎臓病で寝ている昌彦[#三男]を防空壕に入れるよう家人へ注意したのであった。
◯ねえやのお父さん、この前も昼空襲を体験、きょうもまた体験、病治って戻ってきたよねちゃんは初の体験、どうかなあと気をつけて観察していたが、やっぱり落着いているので安心する。
◯きょうも敵の一機がひどく煙をひいて、編隊に遅れたばかりか、ついに東南方向に水平錐もみにはいったのをみて、大いにうれしかった。近ごろにないうれしさであった。下の町でもどっと歓声があがる。うちの壕からも、子供や大人がみんな飛びだして、わあわあと大喜び。それからあと、もっと敵機がこないかと待ち遠しく感じた。
◯その編隊の二番機も薄いながら煙を曳いていた。煙曳き機は二機見た。
◯爆煙か火災の煙か知れないが、荻窪と中野の方にあがっていたが、まもなく薄れた。
◯七時の大本営発表「五十機来襲、十四機撃墜(内不確実五機)、損害を与えたるもの二十七機、わが損害四機(体当たり二機を含む)」相当の戦果だ。
◯きょう空襲中の情報に「相当戦果をあげている。なお
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