そのとき、夜は、ほのぼのと、明け放れた。頭上には、精鋭なるドイツ機隊の翼《つばさ》の輝《かがや》き、そして海岸には、平舟《ひらぶね》の舷《ふなべり》をのり越えて、黒き洪水《こうずい》のような戦車部隊が!
 ドイツ軍大勝利の閧《とき》の声と共に、上陸作戦の夜は、明け放れたのであった。
 福士大尉は、情報報告のため、直《ただ》ちにこのクリムスビーを発足《ほっそく》すべく、アンの亡骸《なきがら》をそっと下に置いて、立ち上った。



底本:「海野十三全集 第10巻 宇宙戦隊」三一書房
   1991(平成3)年5月31日第1版第1刷発行
初出:「新青年」
   1941(昭和16)年 2月
入力:tatsuki
校正:土屋隆
2003年12月7日作成
青空文庫作成ファイル:
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