いるのです」
 帆村は宇宙戦争について、ゆるぎない信念を持っていたのだ。
「なるほどなあ」
 あの怪物と魔の空間とが関係があると考えると、高空三万メートルに着陸場があるということが、今までよりもずっと有りそうに思われてくる。
「山岸さん。急いで宇宙戦研究班をおつくりなさい。そして十分の準備をしてから、魔の空間を襲撃するのです。ただし研究班をつくるには、そうとうに大仕掛のものでなくては役に立ちませんよ」
 帆村は、いつになくおしつけるような口調で、このことを山岸中尉にいったのである。

   宇宙戦研究班

 山岸中尉は、その夜を帆村と語りあかしてつよい信念を得たようであった。
 すぐにも彼は、竜造寺兵曹長を救いだしに行きたかったけれども、帆村が、「兵曹長の一命はとうぶん大丈夫ですよ」というので、やっぱり十分に準備をしてからでかけることにした。
 山岸中尉は、翌日司令にいっさいをぶちまけて、宇宙戦研究班の編成|方《かた》をねがった。
 司令は驚かれた。しかし司令は、がんらい頭の明晰《めいせき》な人であったので、山岸中尉の話の中におごそかな事実のあるのを見てとり、中尉の願いをききいれた。司
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