と思っています」
「ほほう。地球人類ではないというと、それは何かね。人間でないものというと、常識では解けないじゃないか」
「それがはっきり解けると、この事件もたちどころに解決するのですが、まだわかりません。しかし人間でないということだけは言い切れます」
「なぜ」
「そうではありませんか。心臓のとまっていたのが、やがて地上へ移すと動きだした。これは人間にはないことです。目が三つある。これも人間ではない。岩の上を走っていって、竹蜻蛉《たけとんぼ》のようにきりきり廻った。と、その姿が急に見えなくなった。これは児玉法学士が見たのですから間違いなしです。これも人間業《にんげんわざ》ではありません」
「そうは思わないね。まず心臓の件だが、あれは始め診察したとき心臓のまだ微《かす》かに動いているのを聴きおとしたのだ。第二に、竹蜻蛉のように廻ることは、舞踊でもやることで、ふしぎなことではない。第三に、見ているうちに姿を消したというが、あれは児玉法学士の目のあやまりだよ」
室戸博士は、三つとも否定した。
「いや博士。僕は見誤りなんかしませんです。たしかに怪物の姿が、まるで水蒸気が消えるように消えてしま
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